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Zuo DrumString Phanta – 新興ブランドが描く、幻想的な音景色

5.0

「Zuo DrumString Phanta」は、Kinera関連の流れを汲む新興ブランド、Zuo DrumString(左宮羽)がリリースしたイヤホンです。
Zuo DrumStringは、Kinera初期からブランド運営や世界観づくりに関わってきた、Lorry氏が主導するブランド。
Kineraの完全な別ラインというよりは、Kinera周辺から生まれた、独立色のある関連ブランドと見るのが自然です。
海外のストアでは、Kinera系の新ブランドとして紹介されていることもあります。

今回ご紹介するPhantaは、中国名で「幻砂」とも書きます。

本製品は自費で購入しております。

製品の紹介

パッケージデザイン

パッケージは、レター風の留め具が良いアクセントの落ち着いたデザインです。
製品イメージを大きく見せることはせず、裏面にさりげなくスペックなどが表記された物静かな構成ですね。

Zuo DrumStringは、「速い時代の中で、時間をかけて作る」という方向性を打ち出しているブランドです。
派手さで印象付けるのではなく、シンプルにまとめつつ余白や素材感の素朴さで世界観を作り上げているように感じます。

Zuo DrumString Phantaの写真
Zuo DrumString Phantaの写真

付属品

付属品は、イヤーピース周りが特に面白い構成です。
例えばイヤーピースは、final Type-Eが5ペア、WhizzerのET100ABが3ペア付属しています。
final Type-Eは中低域の密度感を出しやすく、ボーカルも少し近く感じやすいタイプ。
ET100ABは開口部側が少し長めの形状で、抜け感や空間の出方を試しやすいイヤーピースだと思います。

ケーブルは、5N品質の古河・銀メッキOFC(無酸素銅)ケーブルとされています。
4.4mmプラグで、コネクタは0.78mm 2Pin。シルバー系の外観で、取り回しもしなやか。装飾が華美すぎないのも良いです。

Zuo DrumString Phantaの写真
Zuo DrumString Phantaの写真

イヤホン本体

フェイスプレートの美しさがかなり目を引きます。
青、黒、白、金が混ざった模様は、砂浜に波が重なったようにも、青い鉱石の断面のようにも見えます。
製品名の「幻砂」という言葉にも合っていて、左右で模様の出方が違うところも含めて、量産品というより小さな工芸品に近い楽しさがあります。

Zuo DrumStringは、Phantaのフェイスプレートを「身に着けられる小さな風景」のような方向性で作っているブランド。
派手と表現するよりは、引き込まれるような深みを感じます。透明感のある青と細かな金色の粒が重なり、手元で眺めたくなる雰囲気がありますね。
シェルはスモーク系の樹脂筐体で、フェイスプレート側が華やかなのとは裏腹に、少し無骨な感じです。

内部には、3基のダイナミックドライバーを搭載。
10mm径のグラフェン素材のドライバーに加え、8mm径の同軸デュアル構造・チタン結晶素材のドライバーを組み合わせた構成です。
一言に3DDといえば、低音を強く押し出すような先入観を抱きがちですが、Phantaのそれはダイナミックドライバーだけで帯域のつながりを作り上げており、そのうえで低〜中音域の厚みや余韻を出していく方向に感じます。

ノズル径は実測で約6.4mm。
やや太めなので、手持ちイヤーピースを使う場合は軸のきつさに注意した方が良いです。
付属イヤーピースは問題なく装着できるので、まずは純正状態から試すのが安心です。

筐体の厚みは2cm弱あり、耳からはそこそこ出っ張ります。
装着中に大きな違和感があるほどではありませんが、手元のいくつかのイヤホンと比べると存在感はあります。
横向きに寝ながら使うのはお勧めしづらく、座ってじっくり聴く、作業中に流すといった使い方の方が合っています。

Zuo DrumString Phantaの写真
Zuo DrumString Phantaの写真
Zuo DrumString Phantaの写真

販売先のストア情報

「Zuo DrumString Phanta」は、以下のストアでご購入いただけます。

Zuo DrumString Phanta
Zuo DrumString Phanta

青く幻想的なデザインと、厚みのあるサウンドが魅力の注目モデル。

レビュー

レビュー環境

本記事のレビューは、以下の環境で行いました。

イヤーピース付属イヤーピース(final Type-E)
ケーブル付属ケーブル(4.4mm)
DAC・アンプD&A Alpha Pro

全体的な音色・各音域のバランス

Phantaの音は、低〜中音域に厚みを持たせつつ、ボーカルとの距離感を崩しにくいバランスです。

3DD構成と聞いて、最初はもっと低音中心でブーミーなイヤホンを想像していました。実際に聴くと、低音は他の音域より前にいますが、必要以上に膨らんで全体を覆う感じではありません。低音が土台を作り、その上にボーカルや楽器が乗るような聴こえ方です。

音の重心はやや低めで、低〜中音域の情報量が中心になります。ベースや低い打音の存在感があり、声にもほどよく厚みが乗るので、軽く流していても音楽の輪郭を掴みやすいです。

作業中に軽く聴き流す用途にも、休憩中に少し集中して音楽に浸る用途にも合わせやすいと感じました。派手に聴かせるというより、音楽の熱量を適度に残しながら、長く聴ける方向です。

高音域の伸びや煌びやかさを重視する人には、あと一歩と感じる場面があるかもしれません。そこは平面駆動系や高域を強く見せるハイブリッド機とは違う部分で、Phantaはダイナミックドライバーらしい厚み、余韻、帯域のつながりを楽しむイヤホンだと思います。

低音域

低音域は、量で押し切るというより、厚みと弾みで音楽を支える鳴り方です。
低い打音やベースラインはしっかり出ており、曲の土台を作る力はありつつも常に前へ出続けるような圧の強さではありません。低音が主役になる場面でも、ボーカルを大きく隠さないところが扱いやすいです。

沈み込みはほどよく、深さだけを強調するタイプではないと思います。
角は少し丸く、硬質に締め上げるよりも余韻を自然に残しつつ鳴っているような感触です。

3基のダイナミックドライバーという構成から、低音が過剰に膨らむような先入観を抱いていましたが、実際は異なる印象でした。
低音は前に位置していますが、いわゆるブーミーさはなく音楽全体に厚みと温度感を足すというイメージです。

ロックやポップスではリズムの弾みが出やすく、シティポップやボーカル曲では下支えのある聴き心地になります。
重低音の強烈な押し出しを求める人には少し穏やかかもしれませんが、日常的に聴くにはちょうど良い量感だと感じました。

中音域

中音域は、Phantaの聴きやすさを支えている帯域です。
ボーカルは少し近めで、低音の厚みの中でも埋もれにくく聴こえます。声を細くシャープに切り出すタイプではなく、伴奏と自然に重なりながら中央に残る鳴り方です。

男性ボーカルは土台があり、声の線が痩せにくいです。
女性ボーカルは少ししっとりした印象で、強く前へ張り出すよりも、曲全体の中で滑らかに聴かせる方向です。

言葉の輪郭は追いやすいですが、子音を鋭く立てるような見せ方ではありません。
細部を分析するより、歌の流れや雰囲気をそのまま受け取りやすい音です。

ギターやピアノも中低域側の厚みが出やすく、楽器の響きに少し丸みを帯びているような、硬く乾いた音よりは余韻を含んだ聴こえ方になります。
音数が増えた場面でも、ボーカルと伴奏の距離感は比較的取りやすく、軽く聴いていても曲の中心を見失いにくいですね。

高音域

高音域は、低〜中音域に比べると前へ出すぎない立ち位置です。
シンバルやハイハットの粒立ちは分かりますが、強く煌びやかに伸び切るタイプではありません。
先端を鋭く見せるより、低〜中音域の厚みを邪魔しない範囲で明るさを足すような鳴り方です。

刺激感は抑えめで、音量を少し上げても高音だけが耳につきにくいです。
長めに聴いても疲れにくく、作業中に流す用途ではこの穏やかさがかなり効いてきます。

その一方、高音域の抜けや空間の広がりを最優先する人には、少し大人しく感じる可能性があります。
きらびやかさで音を広げるタイプではなく、あくまで低〜中音域の厚みと一体感を保つための高音域です。

平面駆動系のような細かな高域表現や、金属音の鮮やかな伸びを求めるなら別の選択肢もあります。
Phantaはその方向ではなく、聴き疲れを抑えながら音楽の濃さを残すバランスを選んでいるように感じました。

まとめ

「Zuo DrumString Phanta」は、Kinera関連の流れを汲む新興ブランドとして世界観と音作りの両方に個性を感じられるイヤホンです。

Zuo DrumStringを単純にKineraのサブブランドと断定するより、Kinera周辺から生まれた独立色のある関連ブランドと表現する方が自然だと思います。
Lorry氏の美意識やブランドづくりの方向性が前面に出ていて、Phantaにもその雰囲気はかなり分かりやすく表れています。

青く滲むフェイスプレートは「幻砂」という名前にも合っていて、手に取った瞬間から所有欲を満たしてくれます。
final Type-EやWhizzer ET100ABと多彩なイヤーピースが付属する点も含め、単なるスペック勝負ではない楽しさがあります。

音は、低〜中音域の厚みとボーカルの聴きやすさを軸にしたバランスです。
3DD構成だからといって低音が過剰に膨らむわけではなく、ダイナミックドライバーらしい自然なつながりと、ほどよいメリハリを楽しめます。
高音域の伸びや鋭い見通しを最優先する人には少し穏やかに感じるかもしれませんが、低音の支えやボーカルの自然さ、長時間でも疲れにくい音楽的なまとまりを重視するのであれば、Phantaはかなり魅力的な選択肢です。

ブランド背景、デザイン、付属品、音の方向性まで含めて楽しめる一本。
Zuo DrumStringという新興ブランドの個性を知るうえでも、Phantaはかなり面白いモデルだと思います。

今回のレビューは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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