こんにちは。
今回は、PULA Audioより発売中のイヤホン「杢(もく)」のレビュー記事となります。
※本製品は、HiFiGo様よりご提供いただいております。
このような機会をいただけましたことに、感謝いたします。
製品の概要
PULA Audioの最新作「杢(もく)」は、1基のダイナミックドライバーを搭載したユニバーサルIEMです。
「Unicrom」というグローバルモデル名のとおり、“シンプルな構成の中に宿る純粋な音”を追求した1本となっています。
フェイスプレートにはスタビライズドウッド(安定化木材)が用いられ、すべての個体が異なる木目を持つユニークなデザインが特徴。
さらに、ベリリウムメッキ振動板や3.5mm / 4.4mm対応の交換式プラグなど、注目の仕様を多数採用しています。
エントリークラスの価格帯ながら、音質面・質感面の両方において、上位モデルと比べても遜色ない仕上がりを感じさせる製品です。
販売先のストア情報
「PULA Audio 杢(もく)」は、以下のストアでご購入いただけます。
製品の紹介
パッケージ構成
グリーン系の色味を基調とした落ち着きのあるパッケージに収められています。
細かなラメのような加工が施されており、角度によってさりげなく光を反射する上品な質感が印象的です。
表面には「Unicrom」のロゴとともに、日本語でのモデル名「杢」の文字が大きくレイアウトされており、海外ブランドでありながら和の美意識を強く意識したデザインがうかがえます。
裏面には、英語・日本語・韓国語の3言語で仕様が記載されており、グローバル展開を前提としたパッケージ仕様となっています。
また、カラーバリエーションを示すアイコンも下部に配置されており、今回の個体は「グリーン」モデルであることが分かります。
全体的にコンパクトかつ情報が整理されたパッケージデザインで、開封前から丁寧なものづくりへのこだわりが感じられる印象です。
付属品
パッケージ内には、本体に加えて充実した付属品が同梱されています。
まず印象的なのが、グリーンの合皮素材を用いたキャリングケースです。
しっかりとした硬さとコンパクトなサイズ感で、携帯性と保護性能を両立。
表面には「Pula」のロゴが型押しされており、全体の雰囲気にも統一感があります。
イヤーピースはなんと7ペア・計14個が付属。
形状や軸の太さ、素材感の異なるバリエーションが揃っており、装着感や音質のチューニングを自分好みに調整できる配慮がなされています。
カラフルな配色も目を引き、視覚的にも楽しい内容です。
また、銀メッキ銅線による2ピン仕様の着脱式ケーブルが付属し、しなやかで取り回しの良い仕上がり。
プラグは交換型仕様で、3.5mmと4.4mmの両方が最初から同梱されており、デバイスに応じた使い分けが可能です。
この価格帯ながら、実用性・満足度ともに非常に高い内容だと感じました。

イヤホン本体
本製品の最大の特徴ともいえるのが、このフェイスプレートの美しさです。
表面にはスタビライズドウッド(安定化木材)を使用しており、個体ごとに異なる杢目(もくめ)が浮かび上がります。
深みのあるグリーンと木材特有の複雑な模様が重なり合い、自然と人工の境界を感じさせない独特の存在感を放っています。
ブランドロゴはプレート表面に直接プリントされており、光の加減によってさりげなく反射。
主張しすぎず、それでいて確かな個性を感じさせるバランスの良いデザインです。
シェル本体はレジン製で、丸みのあるシルエットが耳へのフィット感を高めています。
ノズル径は実測で約6.3mm。汎用性の高いサイズ感で、サードパーティ製イヤーピースとの相性も良好です。
全体的に価格帯を超えた質感があり、手に取った瞬間から“丁寧につくられている”ことが伝わってくる仕上がりでした。

レビュー
レビュー環境
本記事のレビュー時における構成は、以下のとおりです。
| イヤーピース | final Eタイプ |
| イヤホンケーブル | 付属ケーブル(4.4mm) |
| DAC・アンプ | D&A Alpha Pro |

試聴曲(光の記憶 / Emotional Anime Music)
全体的な音色・各音域のバランス
全体的な音色として、私自身のイメージは「寒色寄り~ニュートラル 」だと感じました。
澄み渡るような透明感がありつつ、特定の帯域が過度に主張することはなく、非常にフラットで雑味の少ないチューニングです。
わずかにクールな印象を帯びてはいるものの、冷たすぎるわけではなく、むしろ“静かな清涼感”といった表現がしっくりくるように思います。
音のエッジはややシャープ寄りで、輪郭が明瞭。
反応の速さや抜けの良さが光る一方で、余韻や空間の広がりにも配慮されており、自然な開放感を伴ったサウンドが楽しめます。
各音域のバランスについては、以下のとおりです。
低音域
低音域は、量感控えめでタイトに引き締まった傾向です。
ズシンと沈み込むような重低音は抑えめですが、そのぶん中高域とのバランスがよく、空間の中にしっかりと定位したベースラインやキックのアタック感が印象的です。
過剰な響きや膨らみはなく、輪郭のはっきりした低音がスピーディに鳴るため、リズムのキレやテンポ感を重視した楽曲との相性は良好。
特に「光の記憶」のように繊細なピアノと広がりのあるストリングスが主体の楽曲では、土台として自然に支える役割に徹してくれます。
派手さこそありませんが、聴き疲れしにくく、上位帯域とのつながりを邪魔しないスマートな低域チューニングだと感じました。
中音域
中音域は、過不足のないナチュラルな表現が魅力です。
とくにボーカル帯域にあたる部分は癖が少なく、感情の機微をすっと自然に引き出すような繊細さがあります。
中域を張り出させたり、エッジを強調するような演出は控えめながら、音の芯はきちんと通っており、ピアノの響きや弦楽器の細やかなニュアンスも丁寧に描写されます。
また、サ行などの刺さりやすい音にも過敏にならず、滑らかな輪郭で包み込むような音作りが印象的でした。
音数の多い楽曲でも中域が埋もれにくく、全体のバランスを整える軸となっています。
高音域
高音域は、抜けの良さと適度な伸び感が特徴的です。
ベリリウムメッキ振動板の効果か、粒立ちが細かく、明瞭ながらも刺さりやピーク感を抑えた調整がなされており、長時間のリスニングでも疲れにくい印象を受けました。
音の消え際も非常にナチュラルで、ピアノのハイノートやストリングスの響きがスッと空間に溶け込んでいくような印象があります。
煌びやかさというよりは、あくまで“澄んだ透明感”を大切にした音作りで、全体の雰囲気にもマッチしています。
情報量を詰め込むのではなく、必要なディテールを丁寧に届けてくれる──そんな誠実な高域だと感じました。
バーチャル試聴
バイノーラルマイク(HEADREC Binal 2)で収録した、イヤホンの音です。
あくまでも参考値となりますので、実際に皆さまの耳で試聴された印象とは大きく異なる可能性があります。
まとめ
派手な味付けや“分かりやすい特徴”で勝負するタイプのイヤホンではありません。
しかし、1DDというシンプルな構成の中に、自然な音の美しさと、丁寧なものづくりの精神がしっかりと息づいています。
わずかに寒色寄りのニュートラルなチューニングは、どんなジャンルにも過剰にならず、音楽そのものの魅力を損なわない構成。
特にピアノやストリングスの再現には目を見張るものがあり、音の透明感・余韻・立体感など、“音楽の空気”まで描いてくれるような繊細さを感じました。
外観においても、スタビライズドウッドを用いたフェイスプレートはすべてが一点物。
自分だけの杢目模様とともに、音楽の世界にじっくりと浸る――
そんな“持つ喜び”と“聴く喜び”を兼ね備えた1本に仕上がっていると感じます。
この価格帯で、ここまで音と質感に誠実な製品はそう多くありません。
シンプルだからこそ、本質的な良さが際立つ──そんな魅力にあふれたイヤホンでした。
今回のレビューは以上です。
お読みいただきありがとうございました。



