こんにちは。
今回は、Kineraより発売中のイヤホン「Kinera Celest Wyvern Black Remaster」のレビュー記事となります。
※本製品は、AKHiFi Audio 様よりご提供いただいております。
このような機会をいただけましたことに、感謝いたします。
製品の概要
Kineraのサブブランド「Celest」より登場した「Wyvern Black Remaster」は、10mm径のLCPダイナミックドライバーを搭載した、エントリークラスのイヤホンです。
その名の通り、かつてリリースされた「Wyvern Black(Wyvern Abyss)」の音響設計を再構築し、全体的なリファインが施されたリマスターモデルとなっています。
内部には、第2世代のLCP(液晶ポリマー)複合素材を用いたダイアフラムを採用。
これにより、振動板の剛性と内部損失のバランスが高次元で両立され、音のレスポンスや正確性が向上しています。
さらに、従来モデルから15%増加された音響チャンバーの容量と、独自の低音共鳴設計「Bass Chamber Tuning」により、豊かで深みのある低音域を実現。
加えて、マルチベント構造による音響制御や、HRTF(頭部伝達関数)を意識したチューニングが施され、自然な音場再現にも力が注がれています。
また、ノズル部には金属製サウンドノズルと精密なメッシュパターンを採用し、共振や不要なフィルタリングの影響を抑制。
トータルで見ると、クラスを超えた音響エンジニアリングが注ぎ込まれた、実力派の一本に仕上がっています。
販売先のストア情報
「Kinera Celest Wyvern Black Remaster」は、以下のストアでご購入いただけます。

製品の紹介
パッケージ構成
パッケージは、Celestとしては初めて本格的にキャラクターイラストがあしらわれた、印象的な紙箱仕様となっています。
パープルを基調としたカラーリングに、龍の意匠と装飾文字が重ねられたデザイン。
神秘的な雰囲気とともに、ブランドの新たなフェーズを感じさせます。
パッケージ前面には「黒龍(Wyvern Black)」の文字が大きく配されており、右上には「VGP2025 金賞」のステッカーも貼付。
Celestブランドの音作りと品質へのこだわりが、パッケージからも伝わってくる仕上がりです。
背面には、搭載ドライバーや再生周波数帯域、感度・インピーダンスなどの基本スペックに加え、付属品の一覧も明記。
シンプルながらも必要な情報がコンパクトに整理されており、初めてCelest製品を手に取るユーザーにも配慮された構成となっています。
付属品
パッケージを開封すると、実用性とキャラクター性を兼ね備えた付属品が整然と収められています。
まず同梱されているのは、3サイズ(S / M / L)のシリコンイヤーピースが計6個(標準装備のMサイズを含むと、計8個)。
装着感や音の変化を試しながら、自分に合ったサイズを選ぶことができます。
ケーブルは、前作「Wyvern Black」に比べて若干太く、しっかりとした印象を受けます。
ただし、ツイスト構造ゆえの“クセ”は健在で、取り回しの面ではやや注意が必要かもしれません。
気になる方は、リケーブルによる音質・装着感のカスタマイズも検討してみる価値があります。
そのほか、簡易マニュアルと、前作までと打って変わって…可愛らしいキャラクターカードも封入。
今回のカードには、Remaster仕様の新ビジュアルが施されており、ファンには嬉しいコレクション要素となっています。

イヤホン本体
フェイスプレートは、グリーンとパープルの多層的なグラデーションに、羽根のような彫刻模様が重ねられた美しい仕上がり。
光の角度によって印象が変わる偏光的な意匠で、Celestらしい幻想的なビジュアルが際立ちます。
シェル本体はブラックの高光沢仕上げで、丸みを帯びた独特の形状は耳に自然にフィットしやすい造形です。
ノズル部分には金属素材が採用され、外観のアクセントになると同時に、装着時の安定感と音の直進性にも寄与しています。
ノズル径は「約5.9mm」と標準的な太さで、社外製イヤーピースとの互換性も高い仕様です。
2Pin端子はやや奥まった位置に配置されており、ケーブルを挿す際には少し角度を意識する必要がありますが、脱着の感触はしっかりしており安心感があります。
全体として、外観の個性と装着性のバランスを高いレベルで両立したデザインとなっており、価格帯を超えた所有感を味わえるモデルに仕上がっています。
レビュー
レビュー環境
本記事のレビュー時における構成は、以下のとおりです。
| イヤーピース | 付属イヤーピース |
| イヤホンケーブル | 付属ケーブル(4.4mm) |
| DAC・アンプ | D&A Alpha Pro |

試聴曲(secret base ~君がくれたもの~(10 years after Ver.) / あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。)
全体的な音色・各音域のバランス
全体的な音色として、私自身のイメージは「ニュートラル」だと感じました。
派手さを排したバランス感のなかに、音楽全体の構造を丁寧に描き出す、落ち着いた説得力があります。
「secret base ~君がくれたもの~(10 years after Ver.)」では、三人のボーカルがしっかりと独立しつつも、自然に溶け合っていく距離感や空気感を見事に再現。
過度な演出感はなく、それでいて“感情の輪郭”がしっかりと浮かび上がってくる、そんな音場設計です。
各音域のバランスについては、以下のとおりです。
低音域
低音域は控えめで、楽曲全体の輪郭を壊さず、そっと下支えするような落ち着いた出方が印象的です。
前作「Wyvern Black」ではややスリムで引き締まった低音傾向にありましたが、本機「Remaster」ではチャンバー構造の最適化によって、より自然な量感と余裕のある広がりが加わっています。
沈み込み自体は深すぎず、必要最低限の“深さ”でとどめられており、音の土台としての役割を過不足なくこなしてくれます。
そのため、ボーカルや中高域とのバランスも取りやすく、たとえば「secret base」のような繊細なバラード曲では、空気の流れや温度感を損なわずに情緒を引き出す手助けとなっています。
中音域
中音域は過度な強調や凹みを感じさせない、非常に素直で滑らかなチューニングです。
ボーカル帯域は輪郭がくっきりとしながらも、刺さるような鋭さはなく、やわらかな質感をまとっています。
三人の歌声が重なり合う「secret base」では、それぞれの声質の違いや定位感が丁寧に描き分けられているように感じます。
前作と比較すると、やや厚みと張りが増した印象があり、音像の存在感が一段階引き締まったように感じられます。
特にアコースティックな楽器やピアノの響きにおいて、その変化は明確で、情報量のバランスに優れたチューニングだといえるでしょう。
高音域
高音域は繊細さと輪郭感のバランスに優れ、楽曲の空気を丁寧に描き出します。
7~8kHz付近にわずかなアクセントが設けられており、シンバルの粒立ちやアコースティックギターの弦鳴りといった“金属的な響き”のニュアンスが、くっきりと表現されます。
一方で、そのピークが過度に耳に刺さるような印象はなく、エッジの処理には一定の丸みを感じさせます。
鋭利な音ではなく、あくまで「芯を持った繊細さ」といった趣で、細かなニュアンスの再現力に貢献しています。
また、10kHz以降の高域はなだらかに減衰していく設計のため、余韻が伸びすぎて浮いてしまうような印象もなく、音像の自然な消え際が心地よく感じられます。
空間の広がり方や定位の整理にも優れ、全体のバランスの中で「必要な高音だけが適切に存在している」という印象を与えてくれます。
なお、前作「Wyvern Black」をすでにお持ちの方にとっても、本機「Remaster」はあらためて手に取る価値のあるリファインモデルだと感じます。
音の方向性は継承しつつも、解像感や音の密度、定位の明瞭さには確かな進化があり、特に中低域の厚みや高域の整理された伸びには、聴き比べてこそ分かる違いがあります。
「大きく変わった」のではなく、「丁寧に磨き上げられた」──そんなアップグレードのニュアンスが強く、Wyvern Blackの素直な音作りが気に入っていた方ほど、このRemasterの完成度には深く頷けるのではないでしょうか。
バーチャル試聴
バイノーラルマイク収録でのバーチャル試聴です。
あくまでも参考値となりますので、実際に皆さまの耳で試聴された印象とは大きく異なる可能性があります。
今回のレビューは以上です。
お読みいただきありがとうございました。





