「HIFIMAN Svanar Wireless」は、HIFIMANが2023年に発売した完全ワイヤレスイヤホン(TWS)です。
R2R DAC「HYMALAYA」を小さな本体に積んだ意欲作で、発売当初はTWSとしては高価な部類でした。
以前に自費で購入して使っていたのですが、後継の「Svanar Wireless 2」をレビューする機会をいただいたので、初代も別の記事として書くことにしました。
発売から時間が経って大きく値下がりした今、HiFiモードで聴くためのTWSとして選ぶ価値があるのか、2と比べながら書いてみます。
製品の紹介
パッケージデザイン
パッケージは黒を基調にした縦長の箱で、上部にHIFIMANのロゴ、中央に充電ケースの角を大きく写した写真があしらわれています。
下部には銀の文字の製品名と、「R2R HYMALAYA」「Topology Diaphragm」の金色のバッジが2つ並びます。
裏面には、ANCとENCのデュアルノイズキャンセリング、耳に沿う形の本体、IPX5の防水、ハイファイな音といった特徴と仕様が並んでいます。
色数を抑えた、落ち着いたデザインです。
ちなみに後継の2の箱では、バッジが「HYMALAYA Mini」を含む3つに増えています。
付属品
付属品は、USB Type-Cの充電ケーブルとイヤーピースなど。
イヤーピースはシリコンがMサイズ4組とSサイズ1組、フォームがSサイズ2組という構成で、Lサイズは入っていません。
Mサイズを中心にそろえてあるので、標準のサイズが合う人なら替えに困ることはなさそうです。
耳の大きい人は、別にイヤーピースを用意したほうが良いかもしれません。
その場合、本体を差したままケースのふたを閉めることになるので、背の高いイヤーピースだと収まりにくい点には気をつけたいところです。
今回のレビューでは、付属のシリコンのMサイズを使っています。
付属品の顔ぶれは後継の2も同じで、このあたりは世代による差はありません。

イヤホン本体
本体は鏡面仕上げのシルバーの外装で、角を立てた多面体のシェルから、短い軸が斜めに伸びる形です。
外側の四角い面がタッチパッドです。
片耳8.0gとTWSとしては大きめですが、付属のMサイズのイヤーピースで、私の耳には無理なく収まりました。
中には、R2R DAC「HYMALAYA」と45mWのアンプ、有線イヤホンのSvanarと同じ「Topology Diaphragm」の振動板を収めています。
Bluetoothは5.2で、コーデックはLDAC・AAC・SBCに対応。
IPX5の防水にも対応し、もちろん、技適認証も取得されています。
モードは、左の本体を3秒長押しするたびにANC、外音取り込み、HiFiの順に切り替わり、電源を入れるとHiFiモードから始まります。
片耳だけで使っているときは、モードを切り替えられない仕様です。
専用のアプリはなく、EQやタッチ操作の割り当ては変えられません。
再生時間はHiFiモードで4時間、ANCで6時間、外音取り込みで7時間と、HiFiモードで使うには少し短めです。
接続は、スマホから少し離れると音が途切れる場面がありました。
説明書でも、LDACで途切れるときはAACかSBCへ切り替えるよう案内されています。
充電ケースは多面体の形で、黒いシボのレザー風の外装に、シャンパンゴールドの金属のフレームが走ります。
ワイヤレス充電に対応し、本体をおよそ3回充電できますが、83.7gと大きめです。
カーボン調の天板の2も良いのですが、個人的にはレザー風で整った見た目の初代のほうが好みです。

販売先のストア情報
「HIFIMAN Svanar Wireless」は、以下のストアでご購入いただけます。
レビュー
レビュー環境
本記事のレビューは、以下の環境で行いました。
| イヤーピース | 付属イヤーピース(シリコン、Mサイズ) |
| 再生機器 | Xperia 1 VI |
| 接続 | Bluetooth(LDAC) |
全体的な音色・各音域のバランス
HiFiモードで聴いた全体の音は、自然でまろやか。
低音に少し厚みがあり、そこに広い空間が組み合わさって、ゆったりと音楽に浸れる鳴り方です。
空間の広さは2と同じくらいだと感じます。
モードによる音の違いは大きく、HiFiモードが一番のポテンシャルを持っていると感じました。
ANCモードではかなり籠った音になり、ある意味AMラジオ風。
外音取り込みモードは、外の音自体はよく聞こえるものの、ANCほどではないにしろ籠り気味です。
なぜか、クリアさはこちらのほうがマシなんですよね。
ほかのモードを試したあとでHiFiモードに戻すと、違いがはっきり分かるので、ぜひ試してみてください。
この傾向は2も同じですが、2のほうが特にANCで籠った音になる印象で、初代のほうがいくぶん籠りは少なめです。
低音域
低音域は量感がしっかりあり、温かみのある鳴り方です。
深いところまで沈み込みつつ、中低域にも厚みがあるので、ベースやキックが太く、ふくよかに響きます。
一打ごとにすっと消えるより、ゆったりと余韻を残して鳴るタイプです。
締まりの良さで聴かせるタイプではなく、少しブーミーに感じる場面もあります。
2ではこのブーミーさがかなり和らいで聴きやすくなった気がするので、比べると初代は量感寄りですね。
低音の厚みが好きな人には心地よく、引き締まった低音を求める人には、少し緩く感じられるかもしれません。
中音域
中音域は、自然で落ち着いたボーカルです。
低音から続く中低域の厚みもあって、ボーカルには温かみと艶があり、少し甘さを感じる濃密な鳴り方。
ボーカルの位置は前に出すぎず遠すぎず、空間が広いぶん、まわりの楽器も窮屈にならずに鳴ります。
2と比べると、ボーカルは少し前に出て聴こえます。
2はボーカルが少し奥に下がり、サ行も気になりやすくなったので、そのあたりは初代のほうが自然に聴ける部分です。
初代はサ行が耳に刺さることも少なく、落ち着いて聴けます。
高音域
高音域は柔らかく、まろやか。
シンバルやハイハットも角が立たず、刺さるような鳴り方はしません。
一番上の帯域の伸びは控えめで、きらびやかさを足すことより、長く聴いても疲れないことを優先した音作りに感じます。
高音域が明るく硬めになった2と比べると、初代は穏やかで落ち着いた鳴り方です。
そのぶん、煌めきや余韻の豊かさは2のほうが上なので、高音の華やかさを求める人には少し物足りないかもしれません。
逆に、高音域の刺激に敏感な人には、2より初代のほうが合うと思います。
まとめ
「HIFIMAN Svanar Wireless」は、HiFiモードで聴いてこそ真価を発揮するTWSです。
自然でまろやかな音と広い空間、少し厚みのある低音は、今聴いても十分に魅力があります。
そして今の一番の強みは、コストパフォーマンス。
発売当初から大きく値下がりしていて、セールの時期には2の半額ほどで手に入ることもあります。
一方で、HiFiモードの再生時間が4時間と短いこと、ANCや外音取り込みでは音が籠ること、少し離れると途切れる場面があること、アプリがないことは割り切りが必要です。
ANCを使いながら音質も楽しみたい、という使い方には向かないと思います。
高音域の明るさや接続の安定性、アプリでの調整を重視するなら2、HiFiモードでまったり音楽を楽しみたいなら、値下がりした初代は良い選択肢だと思います。
後継の「HIFIMAN Svanar Wireless 2」は、こちらでレビューしています。

今回のレビューは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






