「ZiiGaat x Jay Audio Seraphim」は、ZiiGaatと海外のオーディオレビュアー「Jay’s Audio」が共同で開発した、2DD + 3BAのハイブリッド構成のイヤホンです。
両者のコラボは2024年の「Estrella」に続く2作目で、今回はシェルに金属を採用しています。
今回は、低音の深さと、ボーカルの聴こえ方を中心に、チェックしていきたいと思います。
製品の紹介
パッケージデザイン
パッケージは、黒地に細い波線が幾重にも流れるモノトーンのデザインです。
中央には銀色のイヤホン本体の写真が大きく配置され、その背後には「SERAPHIM」の文字が縁取りだけで何段も重ねられています。
上部にはZiiGaatとJAY AUDIOのロゴが並び立ち、コラボモデルであることがひと目で分かります。
Seraphim(セラフィム)は天使の最上位にあたる「熾天使」のことで、波線の模様は本体のフェイスプレートの意匠とも揃えてあるようです。

付属品
付属品は、ケーブルと4.4mm/3.5mmの交換式プラグ、3種類のイヤーピース、キャリングケースなど。
イヤーピースは、黒いシリコン、透明な液状シリコン、フォームの3種類です。
今回のレビューは、透明な液状シリコンのイヤーピースで聴いています。
透明のものは低音が少し減り、黒いほうが合うという声もあるので、低音の量が物足りないときは付け替えてみるとよさそうです。
ほかに、ノズルの替えのフィルターがシールで4枚付いてきます。
ケーブルは、外装まで編み込んだよくあるタイプではなく、内部で編み込んだ線材を透明な被膜で覆ったタイプです。
細くて軽く、見た目がすっきりしていて、取り回しで気になることもありませんでした。
プラグは4.4mmのバランスと3.5mmのシングルエンドを付け替えられます。
ただ、ネジなどで固定する仕組みはなく、差し込むだけのシンプルな作りです。
脱着しづらいほど硬いわけではありませんが、少し簡易な印象を受けました。
抜くときにプラグだけ機器側に残ることがある、という声もあります。
ケースは茶色の合皮で、大きめのサイズです。
内側の仕切りは取り外せるので、イヤホンとケーブルをまとめて収めやすくなっています。
イヤホン本体
シェルは銀色の金属製で、表面はマットな仕上げです。
フェイスプレートには波打つような模様が立体的に刻まれていて、光の当たり方で陰影が変わります。
派手な色や装飾はありませんが、金属らしい質感もあって、落ち着いた上品な見た目だと思います。
フェイスプレートの縁には、大きめのベントがあります。
メーカー曰く、前面のベントで耳を塞いだときの閉塞感を減らし、頭の中の空間を広く感じられるようにしているとのことです。
金属のシェルなので、樹脂製のシェルのイヤホンと比べれば、確かに重さは感じるのかもしれません。
個人的には気になりにくい程度でしたが、金属シェルのイヤホンで気になる方がいるとすれば、ここかなと思います。
ノズル径は実測で約6.1mmで、長さは短めです。
収まりが甘いと感じたら、イヤーピースを替えてみるとよさそうです。
ドライバー構成は、10mmのダイナミックドライバー2基と、Knowles製のバランスドアーマチュア3基。
ダイナミックドライバーは、メーカーがアイソバリック方式と呼ぶ2基の組み合わせで、低音域を受け持ちます。
中音域から中高音域をKnowlesの「RAF 32873」2基が、超高音域を「RAD 33518」1基が受け持つ構成です。
接続端子は2Pinです。
販売先のストア情報
「ZiiGaat x Jay Audio Seraphim」は、以下のストアでご購入いただけます。
レビュー
レビュー環境
本記事のレビューは、以下の環境で行いました。
| イヤーピース | 付属イヤーピース(透明の液状シリコン) |
| ケーブル | 付属ケーブル(4.4mm) |
| DAC・アンプ | Luxsin X8 |
全体的な音色・各音域のバランス
全体的な音色は、クール系。
深みのある低音とともに、女性ボーカルをクリアに楽しむことができる、美音系のイヤホンだと感じました。
バランスとしては、低音域と、中音域の上の方から高音域の手前あたりがそれぞれ持ち上がった、緩やかなV字に近い音作りです。
低音の量はありますが、中低域へのかぶりは少なく、ボーカルや楽器の輪郭がぼやけません。
それぞれの音が分かれて聴こえ、定位もつかみやすいと思います。
音場は、横にも奥にも広がりがあり、耳の周りで窮屈に鳴る感じはありません。
メーカーはバランスの取れた音とうたっていますが、個人的にはコントラストをはっきり付けた、聴いていて楽しい音の方に寄っていると思います。
低音域
低音域は、深く沈み込むタイプです。
低い方へズンと伸びて量もしっかりあり、打ち込みの低い音には重みが乗ります。
量感の中心は、低音の一番下の方。
中低域を膨らませていないので、キックドラムやベースギターもこもることはなく、曲全体の見通しは保たれています。
キックには全体的にパンチもあり、沈み込みだけに寄った低音ではないと思います。
ただ、太さで押してくる鳴り方ではないので、ベースギターの厚みを求める方には、少し物足りなく感じるかもしれません。
低音の量を求めつつも、ボーカルや高音のクリアさは損ないたくない、という方に合う鳴り方です。
中音域
中音域は、どちらかといえば女性ボーカル向きです。
高めの声がすっと前に出てきて、クリアに聴こえます。
声の輪郭がくっきりしていて、伴奏に埋もれることもありません。
中低域が控えめなぶん、男性ボーカルは厚みや太さで聴かせるタイプではありません。
低い声の温かみや深さをたっぷり味わいたい方には、少しあっさり聴こえるかもしれません。
ボーカルの周りの楽器も、一つひとつが分かれて聴こえる印象です。
音が重なる場面でも、ギターやピアノの輪郭が見えやすく、声と伴奏を聴き分けやすいと思います。
高音域
高音域は、不快な刺さりを感じることはありませんでした。
ただ、高音域の手前のあたりにはエネルギーがあり、全体の中では僅かに強めに鳴る印象です。
シンバルやハイハットは明るくはっきりと鳴り、音の輪郭もくっきりしています。
このあたりの明るさが、全体のクリアさやクールな印象につながっているのだと思います。
高音の刺激に敏感な方は、少し気になる場面があるかもしれません。
超高音域は落ち着いていて、きらびやかさを強く押し出すタイプではありません。
まとめ
「ZiiGaat x Jay Audio Seraphim」は、深みのある低音とともに、女性ボーカルをクリアに楽しめる、クール系の美音イヤホンでした。
沈み込む低音と、すっきり抜ける中高音域のメリハリで、音楽を楽しく聴かせてくれるタイプです。
気になったのは、交換式プラグの固定が差し込むだけの簡易な作りな点です。
金属シェルの重さは個人的には気になりにくい程度でしたが、樹脂製のシェルに慣れている方は少し重く感じるかもしれません。
ノズルも短めなので、イヤーピースとの相性は少し気にしておきたいところです。
また、中低域は膨らませておらず、高音域の手前も僅かに強めなので、太く厚い低音や、落ち着いた柔らかい高音を求める方には合わないかもしれません。
男性ボーカルの厚みを重視する方も、少しあっさり感じそうです。
低音の深さとボーカルのクリアさを両立したい方、特に女性ボーカルをすっきり聴きたい方には、ぜひ試してほしいイヤホンです。
今回のレビューは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




