「AFUL MiracleOne」は、独自開発の6mmドライバーを搭載した、AFULのシングルダイナミックドライバーイヤホンです。
以前レビューした1BAの「AFUL MagicOne」と対になるような製品で、ひとつのドライバーの持ち味をどこまで引き出せるかに、同社の技術がたっぷり注ぎ込まれています。
今回は、技術派のAFULらしい作り込みと、とても小さな本体の装着感を中心に、チェックしていきたいと思います。
製品の紹介
パッケージデザイン
パッケージは、青みがかった嵐の空のような背景に、透明なイヤホン本体が浮かぶデザインです。
上部にはメタリックな金色で「Miracle One」の文字が大きく入り、その下に「Single Dynamic Driver Acoustic System」と添えられています。
下のほうには、広い帯域を受け持つダイナミックドライバー、3Dプリントで形作った音の通り道、細かな共鳴を利用して音を整える仕組み、ドライバーから回路までをまとめて設計する「SEM」と、4つの技術がアイコンで並んでいます。
箱の時点で技術推しのブランドらしさが出ていますね。

付属品
付属品は、ケーブル、3種類のイヤーピース、丸いケースなど。
箱を開けると、黒いスポンジのトレーにAFULのロゴ入りのケースと、S/M/Lの3サイズずつ並んだイヤーピースが収まっています。
イヤーピースは、メーカー曰く「Balanced」「Resolution」「Spatial」と、それぞれボーカルの豊かさ、明瞭さ、空気感を狙って作り分けられているとのことです。
ただ、実際に見比べてみると見た目はほぼ一緒で、音の違いも好みの問題かな、というぐらいに感じました。
今回のレビューでは、下の左の写真で真ん中あたりの段に並んでいる、クリーム色の軸のものを使っています。
1点だけ改善してほしいと思ったのが、イヤーピースの保管の仕方です。
トレーにそのまま差し込まれているため、製造時の細かいホコリのようなものが付きやすく、使う前に気になってしまいました。
撮影のときに気をつかわなければならないのはもちろん、直接耳に入れるものなので、ここは個包装にしてほしいところです。
ケーブルは、6N単結晶銅に銀メッキを施した線材を4芯で編み込んだものです。
プラグは交換式ではなく、購入時に3.5mmか4.4mmかを選ぶ形で、今回は4.4mmのモデルを使っています。
イヤホン本体
本体は、シェル全体が透き通ったクリアな仕上がりです。
フェイス側には「Miracle One」のロゴの奥に基板や小さな部品が、側面からは内部を這うように走る音響管の形まで透けて見えます。
MagicOneの記事でも触れた、AFULの独自技術が目で確かめられる見た目ですね。
ドライバーには、液状シリコンゴムの振動板を採用した、AFUL独自開発の6mm広帯域ダイナミックドライバーを搭載しています。
メーカー曰く、ドライバーの前と後ろにそれぞれ共鳴室を設けていて、前側は段のついた音の通り道で高音域の伸びを、後ろ側は共鳴管で低音の一番下の量をそれぞれ調整しているとのこと。
さらに「SEM(Sound・Electricity・Math)」と呼ぶ設計で、ドライバー、音響構造、回路の定数までをひとつの系として、測定と計算で合わせ込んでいるそうです。
そして、何より驚いたのがサイズです。
6mmという小さなドライバーのおかげで、本体はとても小さく、耳に着けると出っ張りもなく、すっぽりと収まってしまいます。
イヤホンによっては、耳に入らず装着を諦めるという場面が、人によってはあると思います。
耳の大きさに左右されるイヤホンの装着感は、個人的にも大事にしたい観点なのですが、MiracleOneならそうした方にもおすすめできます。
ノズルは金属製で、ノズル径は実測で約5.8mm、接続端子は2Pinです。
販売先のストア情報
「AFUL MiracleOne」は、以下のストアでご購入いただけます。
6mmのダイナミックドライバー1基を載せた、AFULのシングルダイナミックドライバーのイヤホン。
透明なシェルに独自の音響構造を詰め込んだ、小さな本体が特徴。
レビュー
レビュー環境
本記事のレビューは、以下の環境で行いました。
| イヤーピース | 付属イヤーピース(クリーム色の軸) |
| ケーブル | 付属ケーブル(4.4mm) |
| DAC・アンプ | Luxsin X8 |
全体的な音色・各音域のバランス
全体的な音色は、シングルドライバーらしい自然さとつながりの良さが軸になっています。
低音の一番下まで深く沈みつつ、その上は膨らませすぎず、ボーカルは前に出すぎない自然な位置。
高音域は刺さるとまではいきませんが、結構グイグイと前に来るので、落ち着いた音というよりは活気のある鳴り方です。
音場は左右に広めで、奥行きはそこまで深くありません。
帯域の境目を感じさせず、音がひと続きにつながって聴こえるのは、1DDならではの良さだと思います。
試聴にはLuxsin X8を使いましたが、普段よりボリュームを上げる必要がありました。
ある意味で鳴らしづらさを少し持っているイヤホンなので、上流機器の駆動力は大事になってくると思います。
同じくシングルドライバーで勝負した「AFUL MagicOne」は、以前こちらでレビューしました。

上の記事のとおり、MagicOneは「中音域>高音域≧低音域」のカマボコ気味で、ボーカルの主張が強めのチューニングでした。
MiracleOneはボーカルを自然な位置に置き、そのぶん低音の深さと高音域の勢いで聴かせる方向です。
なお、今回は2台を並べて聴き比べたわけではないので、比較はあくまで以前のレビューの印象からのものです。
低音域
低音域は、深く沈み込むタイプです。
低音の一番下まできちんと届いていて、キックドラムやベースの土台が下のほうでどっしりと鳴ります。
MagicOneでは三つの音域のなかで一番控えめだった低音域ですが、MiracleOneでは深さがしっかり出ていて、ダイナミックドライバーらしさを感じるところです。
ただ、量感がその上の中低域まで盛られているわけではありません。
深い低音が鳴っていても中音域へかぶさりにくく、ボーカルの下に余計な膨らみが出にくいのは良いところですね。
反面、ドンと胸に響くようなパンチや、ベースギターの太さで押してくる迫力を求めると、少し物足りなく感じるかもしれません。
中音域
中音域は、ボーカルが前に出すぎず、伴奏と自然に並ぶ距離感です。
MagicOneのようにボーカルが主役として迫ってくる鳴り方ではなく、曲全体のなかで歌が鳴っている、という聴こえ方だと思います。
音色はクセが少なく、ギターやピアノも素直な響き。
帯域ごとにドライバーを分けていないぶん、ボーカルと楽器の音色がそろっていて、つながりに段差を感じません。
中低域を膨らませていないので、男性ボーカルの太さや厚みは控えめです。
そうした太さをじっくり味わいたい方には、少しあっさりと感じるかもしれません。
高音域
高音域は、刺さるとまではいかないものの、結構グイグイと前に来る感じがあります。
シンバルやハイハットは控えめに引っ込むことなく、勢いのある音でしっかり鳴っていて、曲全体に活気を添えています。
1DDのイヤホンというと、高音域は大人しめにまとまっていることも多いですが、MiracleOneは上までしっかり伸ばしてきている印象です。
ギターやシンバルが勢いを保ったまま前に出てくるので、ロックのようにテンポの速い曲とも相性が良さそうですね。
反面、高音の刺激に敏感な方や、落ち着いた高音でゆったり聴きたい方には、少し元気すぎると感じる場面があるかもしれません。
まとめ
「AFUL MiracleOne」は、独自の6mmダイナミックドライバーを軸に、AFULの音響技術を詰め込んだイヤホンでした。
低音の一番下まで沈む深さと、グイグイ来る高音域、それを1DDらしい自然なつながりでまとめた音が魅力だと思います。
そして、やはり一番推したいのは本体の小ささです。
耳に入らずイヤホンを諦めた経験がある方にも、すっぽり収まるMiracleOneはおすすめできます。
気になるのは、鳴らすのに少し音量が要ることと、価格です。
MagicOneはポテンシャルが高い割にお手頃感もありましたが、MiracleOneは結構上がりましたね。
上流機器にもある程度の駆動力が欲しいので、手持ちの環境と合わせて検討するのが良さそうです。
ボーカルが主役のMagicOneに対して、MiracleOneは深い低音と勢いのある高音域で、1DDの自然さを楽しませてくれます。
小さくて耳に合うイヤホンを探している方はもちろん、MagicOneを愛用している方にこそ、AFULがシングルダイナミックドライバーで出した答えを一度聴いてみてほしいと思います。
今回のレビューは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






