「TRN MTX」は、10mm径のベリリウムコーティング振動板を採用した、シングルダイナミックドライバー構成のイヤホンです。
価格としては、直近レビューした中では随一の安さ。なんと実売10ドル前後というかなり手頃な価格に設定されています。
製品の紹介
パッケージデザイン
パッケージはかなりコンパクトで、白を基調としたシンプルなデザイン。
前面にはブラックとホワイト、2色で展開されているイヤホン本体が描かれています。

付属品
3.5mmシングルエンド接続用のケーブルと、各サイズ分のシリコンイヤーピースが同梱されています。
必要最低限の内容ではありますが、この価格帯の製品として考えれば十分でしょう。

イヤホン本体
10mm径のベリリウムコーティング振動板を採用した、シングルダイナミックドライバー構成です。
ドライバーにはデュアル磁気回路を採用し、ハウジングにはツルツルツヤツヤのPC(ポリカーボネート)素材が使われています。
今回届いたのは、全体を白で統一したかなりシンプルなデザイン。
フェイスプレートには大きく「X」をイメージした装飾が入り、低価格ながら見た目はそれなりにまとまっています。
ケーブルは2Pinによるリケーブルに対応しており、お好みで他のケーブルも試すことができます。
販売先のストア情報
「TRN MTX」は、以下のストアでご購入いただけます。
レビュー
レビュー環境
本記事のレビューは、以下の環境で行いました。
| イヤーピース | 付属イヤーピース |
| ケーブル | 付属ケーブル(3.5mm) |
| DAC・アンプ | D&A Alpha Pro |
全体的な音色・各音域のバランス
かなり低音域へ重心を置いたサウンドです。
低音が全体を下から支えるというより、前面へ出てきてほかの帯域を覆っているようなバランス。
中~高音域には明るさや煌びやかさがあまりなく、全体的に暗めで落ち着いた音色に感じます。
また、特に気になったのがボーカルとの距離です。
かなり奥まった位置から聴こえてくるため、ボーカルを中心に聴きたい場合には物足りなさがあり、個人的にもあまり好みのバランスではありませんでした。
低価格なイヤホンなので細かな部分まで求めすぎるのは酷ですが、サウンドそのものにも強く印象へ残る特徴は少なめ。
良くも悪くも、価格なりにまとまったイヤホンという印象です。
低音域
低音域は量が多く、TRN MTXのサウンドでもっとも存在感のある帯域です。
上から覆いかぶさってくるというより、下の方からズンと押し上げてくるような鳴り方。
しっかりとした重さがあり、低音の量感を求める人であれば分かりやすく楽しめるだろうと思います。
ただその一方で、この低音が全体のバランスを大きく支配しています。
曲によっては中音域まで押され気味に感じられ、低音の量よりも各帯域の見通しやバランスを重視する場合には、やや癖があります。
中音域
中音域は低音域と比べて一歩引いた位置にあり、特にボーカルは明後日の方向で歌っているかのような遠さでした。
声そのものが極端に不自然というわけではありませんが、低音の存在感に対してボーカルがあまり前へ出たがらないという印象です。
ボーカルを近い位置で楽しみたい場合は、ここがもっとも気になりやすい部分かもしれません。
楽器やボーカルを細かく追うというより、低音を主体に全体をざっくり楽しむ方が合っているように思います。
高音域
高音域は刺激が少なく、かなり大人しい鳴り方です。
低価格なイヤホンにありがちな刺さりや耳につく鋭さは感じにくい一方で、シンバルなどが持つ煌びやかさや、音が上へ伸びていくような感覚も控えめ。
低音域の存在感も強いため、中~高音域は全体的に目立ちにくく感じます。
聴き疲れしにくい方向ではありますが、高音の明るさや華やかさを求める場合には、少し物足りないかなー…と思います。
まとめ
「TRN MTX」は、下からズンと押し上げてくるような低音を前面に出した、かなり低域寄りに感じられたイヤホンでした。
実売10ドル前後という超低コストさを前提に考えれば、リケーブル対応やベリリウムコーティングの振動板など、製品としての仕様には「この価格で色々詰め込んできたな」という目を引く部分は確かにあります。
ただ、個人的にはボーカルとの距離がかなり遠く、中~高音域にももう少し存在感が欲しいところ。
低音以外には強く印象へ残る個性も感じにくく、音質面では良くも悪くも価格なりという評価になりました。
この価格帯に多くを求めすぎるのも違うとは思いますが、あえて言ってしまえば…TRN MTXを選ぶ決め手は少なめです。
また、最近はエントリークラスの競争が激しいという時勢もあります。
予算に少し余裕があるのであれば、もう少し足してほかのイヤホンまで候補を広げてみるのが良さそうに思いました。
今回のレビューは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


