「Zhulinniao JingHong Z3(驚鴻)」は、小型の金属筐体に2基のダイナミックドライバーを収めたイヤホンです。
メーカー名は日本語で「竹林鳥」と書くそうで、製品全体にも古き良き中華イヤホンを現代風に整えたような雰囲気があります。
見た目はコンパクトですが、手に取るとしっかり重みを感じられる一品。音も軽く流すというより、ほどよい厚みと抜けの良さで聴かせるタイプでした。
製品の紹介
パッケージデザイン
パッケージは黒を基調にした縦長の箱で、表面には大きく「驚鴻」の文字が入っています。
光を受けると銅色に近い箔押しが浮かび上がり、価格帯を考えるとかなり雰囲気のある仕上がりです。
裏面には製品仕様や特徴が細かく記載されています。
中国語と英語が中心なので少し読みにくさはありますが、製品としての主張は強く、いわゆる中華イヤホンらしい情報量の多さも感じます。
付属品
付属品は、イヤーピースが特に充実しています。
0.78mm 2pinケーブル、3種類のイヤーピース、フォームタイプのイヤーピース、セミハードケースという構成です。
イヤーピースは透明タイプ、赤軸のイコライゼーションタイプ、緑軸の竹韻タイプが用意されており、装着感だけでなく音の方向性も少し変えられる内容になっています。
今回は緑軸の液状シリコン素材のイヤーピースを迷わず選びました。
ただ、説明が中国語中心なので、見た目だけで選ばない人にとっては「どれを使えばいいのか」が少し分かりづらいかもしれません。
製品自体は面白いだけに、日本向けの説明がもう少し整うと、かなり印象が変わりそうです。
ケーブルは106本の導体を束ねた銀メッキOFC(無酸素銅)の2芯構造で、白系の被膜により見た目はすっきりしています。
付属ケースはコンパクトで持ち出しやすい一方、イヤホンとケーブルをきれいに収めるには少し余裕が少なめという印象です。

イヤホン本体
イヤホン本体は小型ですが、金属筐体らしいズッシリ感があります。
フェイスプレートは黒をベースに、青緑がかった光沢と唐草のような装飾が入り、派手すぎない範囲で個性を出しています。
筐体は耳側に大きめのベントがあり、ノズル付近にも通気のための開口が見えます。
この構造もあってか、密閉感で押し込むタイプではなく、音の抜けを感じやすい作りです。
ドライバー構成は10mm径のデュアル磁気・デュアルキャビティ構造のダイナミックドライバーと、6mm径の複合振動板ダイナミックドライバーを組み合わせた2DD構成です。
片方には竹繊維シルクフォーム系、もう片方にはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)とPU(ポリウレタン)の複合素材の振動板を採用しています。
こうした構成を見ると、単に低価格帯の2DD機というより、素材や構造で個性を出そうとしているイヤホンだと感じます。
イヤホン側の端子は0.78mm 2pinで、ノズル径は実測で約6.1mmです。
やや凹んだ位置に端子がありますので、フラット型を前提としたケーブルへ交換する際にはご留意を。
個人的に気になる点は、重さです。
筐体サイズだけを見ると扱いやすそうですが、実際には小型のわりに重量を感じます。
短時間なら問題になりにくいものの、長時間リスニングでは耳への負担が出やすい人もいそうな点で、意見が分かれそうです。
販売先のストア情報
「Zhulinniao JingHong Z3(驚鴻)」は、以下のストアでご購入いただけます。
10mm径 & 6mm径ダイナミックドライバー搭載
レビュー
レビュー環境
本記事のレビューは、以下の環境で行いました。
| イヤーピース | 付属イヤーピース(緑軸 / 液状シリコンタイプ) |
| ケーブル | 付属ケーブル(3.5mm) |
| DAC・アンプ | D&A Alpha Pro |
全体的な音色・各音域のバランス
全体としては、低音から中音域に少し膨らみを持たせつつ、音の抜けを確保した聴きやすいバランスです。
強く派手に鳴らすタイプではありませんが、こもって閉じる感じは少なく、音が外へほどけるような開放感があります。
重心はやや低めから中域寄りで、2DD機にしては低音が極端に前へ出るような傾向は強くありません。
音の土台に厚みがあり、ボーカルや楽器も細くなりすぎないといった印象を受けました。
高音域は抜けの良さがありますが、主役として強く前へ出るというよりは一歩引いた鳴り方です。
明るさで押すより、全体の聴きやすさを崩さない範囲で上を伸ばしている印象です。
定位や音の位置関係は、カチッと整理して見せるタイプではありません。
音楽をゆったり聴くには気持ちいい一方、細かな方向感を重視するゲーム用途では少し合わない場面がありそうです。
低音域
低音域は、量で強く押し出すというより、中低域にふくらみを持たせて全体を支える鳴り方です。
ベースラインや低い打音は軽すぎず、曲の下側にほどよい厚みを作ります。
沈み込みは深く沈めるというより、必要なところで自然に支えるタイプです。
輪郭は少し丸く、タイトに切り込む低音を求めるとやや緩く感じるかもしれません。
中音域へのかぶりは完全に避けるというより、少し温かみや厚みとして乗る印象です。
この膨らみが聴きやすさにつながる一方、すっきりした音を好む人には少し重たく感じる可能性があります。
中音域
中音域は、声や楽器の芯を細くしすぎず、ほどよい厚みを残して鳴らします。
ボーカルは極端に近いタイプではなく、伴奏の中に自然に収まる距離感です。
女性ボーカルは抜けの良さがあり、声の輪郭も追いやすいです。
ただ、息づかいや細かな艶を強く前へ出す方向ではなく、全体のバランスの中で聴かせる印象です。
男性ボーカルやアコースティック系の楽器は、中低域の支えが加わることで薄くなりにくいです。
反面、音数が増える曲では中域の厚みが少し重なり、輪郭をくっきり分けるタイプではないと感じる場面もあります。
高音域
高音域は、抜けの良さを感じさせつつも、前へ出すぎない落ち着いた鳴り方です。
シンバルや弦の上側は見えますが、きらびやかさを強く足すタイプではありません。
刺激感は比較的抑えめで、音量を上げても耳に刺さる方向へ行きにくく、長く聴きやすいバランスに寄っています。
一方で、高音の伸びや余韻を主役に聴きたい人には少し控えめに感じるかもしれません。
明るく開けた高音というより、全体のまとまりを優先した高音域です。
まとめ
「Zhulinniao JingHong Z3(驚鴻)」は、小型ながら重みのある金属筐体と、抜けの良い聴きやすいサウンドが特徴のイヤホンです。
低音から中音域にかけて少し膨らみがあり、音を細くしすぎず、ゆったり音楽を聴きたいときに合いやすいバランスでした。
良い点は、筐体の質感、付属品の充実度、そして自然な音の抜けです。
低価格帯ながら見た目の満足感は高く、イヤーピースも複数入っているため、装着感や音の方向性を試しながら使える楽しさがあります。
注意点は、本体の重さと定位感です。
サイズのわりにズッシリしているため、長時間使う場合は耳への負担が気になるかもしれません。
また、音の方向を正確に掴みたい用途より、音楽の響きや聴きやすさを楽しむ用途に向いたイヤホンです。
また、個人的にマーケティング面で惜しいと感じたのは、日本向け販売ページでの情報量です。
Amazonの商品ページだけを見ると、ドライバー構成や仕様表まわりの情報がやや拾いにくく、製品の個性が伝わりきっていない印象があります。
AliExpressの商品ページには画像付きで比較的詳しく掲載されているため、今後は日本向けの販売ページでもそのあたりが整理されると、より検討しやすくなると思います。
全体として、派手な分かりやすさよりも、金属筐体の質感と自然な抜けの良さに魅力を感じる人向けです。
すっきり軽快なだけでは少し物足りないけれど、低音が強すぎるイヤホンも避けたい。
そんな人には、古き良き中華イヤホンらしい個性を現代的に楽しめる、なかなか面白い選択肢になると思います。
今回のレビューは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。





